本研究の目的は、ベトナムで普及している家庭用バイオガス装置の発展方法としてコミュニティでシェアするCREバイオガス装置の有用性を検討することであった。具体的には、CREバイオガス装置を実際にベトナムの農村に敷設し環境面、経済面、社会面の評価を行う。2018年度には装置の敷設を終えている。環境面の評価としてガスメーターを用いて、CREバイオガス装置からの排水における化学物質の量、大気中に放出される余剰なバイオガス量を計測することができた。 それに基づき、経済面の評価である普及に向けた事業採算性の評価を行うことを達成できた。結果として、利用する世帯が5世帯以上であれば、環境面への悪影響である消化しきれないし尿の流出、大気中へのメタン放出量をバイオガス消費量比で従来の家庭用バイオガス装置に比べて80%以上削減可能なことがわかった。また、経済的な採算性についても、初期費用が高いもののライフサイクル全体で見たときには、従来型の家庭用バイオガス装置に比べて採算性が高いことがわかった。 一方で社会的な影響評価およびWSについては現地におけるアフリカ豚コレラの蔓延、新型コロナウイルスによる活動制限により完了できなかった。 今後の展開としては、これまでのデータの論文化を行うことが一番の目標である。 また、達成できなかった、社会面への影響評価、および現地におけるワークショップを予算を工面することで実現したい。目的であったCREバイオガス装置が十分に稼働し、採算性があることが分かったため協力者とともに社会的実装に向けた道筋を検討する。
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