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2020 年度 実施状況報告書

企業結合による需要者の認識変化を考慮した経済分析に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K20888
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

久保 研介  慶應義塾大学, 商学部(三田), 准教授 (40450506)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード競争政策 / 独占禁止法 / 企業結合規制 / 合併シミュレーション
研究実績の概要

本研究では,各国の競争当局による企業結合審査(合併,買収等の競争効果に関する審査)において従来考慮されて来なかった,市場における競争に関する需要者の認識変化に焦点を当てた理論的・実証的分析を行う。具体的には,合併・買収の効果を予測するために実施する合併シミュレーション等の経済分析の結果が,需要者の認識変化を考慮する場合としない場合とでどのように異なるかを検証する。
この問題を追求するために,需要者が市場における競争状況を観察し,それに基づいて考慮集合を形成することを想定した需要モデルを構築した。そのうえで,企業間の合併・買収が需要者による考慮集合形成にどう作用し得るかを理論的に分析している。また,このモデルに基づき,地方銀行同士の合併によって中小企業が受ける影響に関する実証分析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究では,地方銀行同士の統合が行われる前後のデータを使い,中小企業の金融機関選択行動がどう変わるかを観察することを想定している。現在は,2018年度に購入したデータを使って中小企業の金融機関選択行動を分析しているが,合併前後の変化は予想していたよりも乏しいことが判明している。そのため,直近の状況を記録した追加データを使用することを検討したが,その場合はコロナ禍の影響が強く表れ,分析結果を左右するおそれがある。そこで,分析アプローチを微修正し,分析モデルの有効性をシミュレーションによって検証することに注力することとする。

今後の研究の推進方策

理論モデルに関しては,合併・買収によって生じる競争状況の変化が,需要者の考慮集合の変化を通じて,合併・買収後の価格形成に作用する過程を精緻化する。計量経済モデルに関しては,需要者による価格等に関する期待形成が選択行動に与える影響を精緻化する。
実証分析においては,中小企業による金融機関選択行動をケースとして,考慮集合の形成過程を推定する。かくして得られた推定結果をもとに,合併・買収後の変化に関するシミュレーション分析を実施する。具体的には,合併・買収後に生じる需要者の考慮集合の変化を分析に反映させる場合とさせない場合とで,シミュレーション結果がどのように異なるかを検証する。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は当初,直近の状況を記録した追加データを購入し,それを使って地方銀行同士の統合前後における変化を分析する予定であった。しかし,直近のデータを利用した場合はコロナ禍の影響が強く表れ,分析結果を左右するおそれがあることが判明した。そこで,次年度は分析アプローチを微修正し,分析モデルの有効性をシミュレーションによって検証することに注力することとする。資金の使途としては,追加データの購入を視野に入れつつ(その場合,コロナ禍の影響で分析結果が大きく左右されることを極力回避する),主としてプログラミングにかかる人件費を想定する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] エコノミストから見た企業結合ガイドライン改定2020

    • 著者名/発表者名
      久保研介
    • 学会等名
      法と経済学会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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