企業結合審査において,分析対象市場の画定というステップは重要な位置を占める。そのため,「市場画定を正しく行う方法」には実務面から強い関心が寄せられてきたが,これまで十分な経済学研究が行われてこなかった。本研究において実施した理論的分析は,市場画定において「供給の代替性」をどう考慮するかという点について検討した数少ない研究成果の一つである。その意味において,今後の企業結合審査実務に貢献できる可能性はある。また,本研究の過程で執筆した実務者向けの解説論文は,競争政策における経済分析の「正しい活用」を後押しするものと期待される。
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