本研究は、原子力発電所の稼働による経済状況の変化が住民の子どもを生む意思決定に影響を与えたかどうかを分析することで、日本の出生率を上げるための有効な手段を探るものである。原子力発電所の稼働は、①雇用の創出と②地方自治体から住民への行政サービスの向上という形で、地元経済に大きな変化を及ぼすと考えられる。原子力発電所が建設された地域の出生率に①②が与えた影響を、計量経済学的手法を用いて分析を行った。分析の結果、原子力発電所の稼働は、①雇用の創出を通じて、地元住民の出生率を10%向上させることが判明した。これらの分析結果は複数の学会で発表されたほか、working paperとして公表された。
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