今年度は,これまでの研究成果の発表およびデータの収集と仮説の検証に取り組んだ。 まず,前年度から取り組んでいた消費者のカスタマイズ・サービスの利用意図に関する研究成果をセミナー,学会で報告した。この研究では,消費者の価格敏感性および製品属性に対する重視度が利用意図にどのような影響を与えるのかについて検討するものである。アンケート調査のデータを使用して,価格敏感性,製品属性に対する重視度のそれぞれに関する仮説を検証した。今後,この研究の内容をさらに精緻化させ,論文として刊行することを目指している。 次に,消費者のカスタマイズ製品の構築に関するデータを収集するために,オンライン上で架空のウェブサイトを構築し,実験を行った。具体的には,Amazon Mechanical Turkというウェブ・サービスを通じて参加者を募集し,実験の各条件に参加者をランダムに割り付ける形でデータを集めた。なお,このオンライン実験は,ラップトップ・コンピュータのカスタマイズ・サービスを想定したものである。このデータをもとにして,消費者がカスタマイズするときに知覚する複雑性の仮説を検証した。具体的には,カスタマイズ可能な範囲 (モジュールの種類とモジュール1つあたりの水準数) と明示的なトレードオフ (特定の組み合わせが選択できない状況) に関する仮説の検証である。引き続き,まとめた分析結果を学会等で報告し,論文化することを目指す。 以上のように,今年度は,カスタマイズ・サービスを利用する消費者の特徴および消費者が知覚する複雑性の先行要因について検討し,知見を得ることができた。
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