本研究は米国金融政策の国際的波及効果が,各国の金融市場の状況に応じて非線形的に異なる可能性を検証した.この目的を達成するために,本研究は1990年から2017年における39カ国のサンプルから構成されるパネルデータを利用した実証分析を行った.この結果,各国の国際資本流入や住宅価格は米国金融政策に密接に関連しているとされる代表的なグローバル要因に影響を受けていることが示された.更に興味深いことに,各国の資本流入や住宅価格が影響を受ける度合いは貸出成長率の大小といった各国の金融市場の動向や,先進国と新興国のどちらに区分されるのかといった各国の属性に応じて異なるパターンを示すことも明らかになった.
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