通いの場の参加が,健康増進に寄与するという報告が数多くある.しかしその報告内容は,通いの場への参加の有無が多く,通いの場の開催内容については単一プログラムや,複数プログラムであっても固定の通いの場への参加に留まっている.そこで本研究では,全国で開催されている通いの場の効果においてプログラム別で検討することを目的としている. 日本老年学的評価研究(JAGES)で実施している「健康とくらしの調査」では要支援要介護認定を受けていない全国複数市町村在住の高齢者に調査を実施した.その回答を用いて下記の通り進めた. 2019年および2020年に実施した調査データ(25都道府県57保険者64市町村,376649票配布,192484票回収,51.1%回収率)を用い通いの場参加者がよく利用するプログラムとその組み合わせについて,全体,性別,年齢層別(前期高齢者・後期高齢者)などについて分析を実施した.通いの場参加プログラムの種類は,体操,音楽,創作活動,室内ゲーム,脳トレーニング,お茶やおしゃべり,地域の子どもとの交流の7種類とした.地域在住高齢者のうちいずれかのプログラムに参加している者は15.4%(男性11.3%,女性19.2%)であり人気のあるプログラムは「お茶やおしゃべり」「体操」「音楽」であり,参加が少ないプログラムは「子どもとの交流」であった.全ての組み合わせにおいて通いの場非参加者と比較してポジティブ感情が有意に高いことがわかった.また音楽や子どもとの交流に参加している者は主観的健康観が高いことがわかった.7種類のプログラムのうち脳トレだけは複数プログラム利用の一つとして利用している者が多く,複数プログラムの一つとして利用した方が要介護リスク軽減に効果を示すことが示唆された.現在は,各プログラムの利用の有無と利用時間の長さとの違いについて検討を行い,論文投稿準備中である.
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