研究課題/領域番号 |
18H05713
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
岡村 利恵 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (30826607)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | ICT / 育児負担 / 生活充実感 / 社会関係資本 / 母親 / スマートフォン/タブレット / ソーシャルサポート / 育児困難 |
研究実績の概要 |
本研究の主な目的は、未就学児を持つ母親が子育てにおいてどのようにスマートフォンやタブレットなどを子育てに用いているのか、そしてそのことが母親の育児資源としてどのように作用するのか明らかにすることである。母親のスマートフォンやタブレット利用のみならず、父親の育児参加、祖母からの育児サポートについても検討し、データの国際比較を行った上で得られている主な結果は次の通りである。(1)子育てに難しさを感じている母親ほどスマートフォンやタブレットの利用頻度が高い、(2)母親がスマートフォンやタブレットで子育てに関する情報を得ることよりも、父親との情緒的コミュニケーションが母親の役割適応を促す、(3)伝統的性別役割分業意識が高い母親ほど子育てにおけるスマートフォンやタブレットの利用に消極的である。 平成31年度は、主に文献レビューとデータ分析を進め、研究発信も積極的に行った。9月には家族社会学会、10月にはAsia Pacific Sociological Association(アジア太平洋社会学会), 11月にはNational Council on Family Relations(全米家族会議)で学会発表の機会を得た。これら3回の学会発表のうち、2回は英語で発表を行い、海外の研究者とのディスカッションを通じて、本研究が国際的にも関心を集めることのできる将来性のある研究であると自信を持つことができた。 学会発表のほかに、1月には日本、韓国、米国、スウェーデンで収集したデータを用いて報告書論文を発表した。その他、研究課題と関連の深い文献についての書評を10月に1本発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は当初の予定通り、国内学会で1本、国際学会で2本の計3本の発表報告を実施することができた。論文発表については報告書論文1本と書評1本の発表にとどまるが、1月に発表した報告書論文については日本、韓国、米国、スウェーデンの4か国の母親のデータを扱い、パス解析の他母集団同時分析という高度な分析を用いて結果を示すことができた。31年度に予定している学術ジャーナルへの投稿の土台となる内容であることから、着実に研究が進展したと考え「おおむね順調に進展している」と評価するところである。 また、これまで研究協力者として携わってきた研究会が実施した、子育てとIT利用に関する公開シンポジウムの運営にも携わり、本研究について専門家から多くの助言を得ることができた。さらに科学研究費補助金によって、これまで着手できずにいた研究環境の整備が大幅に進み、このことは31年度の研究の進展に大きく寄与するものである。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、引き続き、より良い子育てにスマートフォンやタブレットがどのように活用できるのか検討を進めながら、さらに働く母親のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)という側面についてもICT利用の影響を明らかにしていきたい。そのために所属機関の協力を得ながら、都内で働く母親を調査対象として質問紙調査を実施する予定である。具体的な調査項目としては「スマートフォンやタブレットなどのICT機器を家庭内で利用することによって家庭内の家事や育児の負担はどうなりました」、「スマートフォンやタブレットなどで利用できるアプリを介して、家事や育児をサポートするサービスをこれまでに使用したことがありますか」、「仕事の負担の大きさから、帰宅してからスマートフォンやタブレットを子どもに仕方なく使わせてしまうことはありますか」などを想定している。平成31年度はこの調査によって得られたデータを中心に分析を行い、各国の専門家からフィードバックを得る目的で国際学会での発表を行う。その上で、日本語と英語の両方で論文を執筆し、国内外の学術ジャーナルに掲載できるよう研究を進める。
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