本研究により、長期滞在家庭・者は、帰国後の生活を展望しながら、滞在先社会での生活を営むことにより、心理社会的適応を行っていることがわかった。長期滞在は、一時的に祖国を離れることであるが、その期間後には元の場所にすんなりと戻ることが望まれているため、滞在先社会においても日本での生活を再構築することが優先されようである。そのため、高度な専門性をもつ長期滞在過程・者は、帰国時には海外での役割や経験を失う「ロスト体験」と、社会の構成員から受け入れられない「リジェクト体験」を通して、心理社会的適応の困難さに直面することがある。
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