研究課題/領域番号 |
18H05717
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山里 絹子 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (00635576)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | ディアスポラ / アイデンティティ / オキナワ系アメリカ人 / 米軍基地 / ライフストーリー / 戦後沖縄 / ハワイ / アメリカ |
研究実績の概要 |
本研究は、米軍統治時代に沖縄の米軍基地で育ち、社会的にも文化的にも沖縄とアメリカの狭間に置かれた「オキナワ系アメリカ人」のアイデンティティ形成過程をライフストーリーの分析をとおして解明するものである。本研究では、米軍基地で育った「オキナワ系アメリカ人」が、アメリカや沖縄社会、米軍基地といった異なる空間を流動的に行き来し、多様な人種・エスニシティ、ジェンダー、階級の人々と接触する中で、どのように自己意識や他者意識、そして故郷認識を形成したのかを考察する。
今年度の主な研究計画は、文献調査と県内在住の関連者へのインタビュー調査の実施であった。研究計画どおりに研究を進展させることができた。まず、沖縄県公文書館や琉米歴史研究会に所蔵されている米軍基地内のアメリカン・スクールに関する一次資料の収集ができた。特に、米軍人子弟らのための高校・クバサキ・ハイスクールの歴史的背景がわかる一次資料を収集できたことは、本研究において大変重要かつ貴重であったと言える。また、現在、沖縄県内在住であるA氏へのライフストーリー・インタビュー調査を実施することができたことは、今後の研究を進める上で大変有意義であった。
上記の実績に加え、国立国会図書館においてディアスポラ研究に関する最新の学術研究論文や著書を収集し、研究の動向を整理し、ディアスポラの理論への理解を深めた。また、琉球大学の島嶼地域科学研究所の定例ミーティングにおいて、オキナワ・ディアスポラに関する研究の動向について発表を行った。島嶼研究者らとのディスカッションができたことは大変有意義であった。また、今年度は研究補助員を一人採用したおかげで、沖縄県公文書館や琉米歴史研究会で収集した資料の整理や先行研究の整理のための作業をスムーズに行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画通りに研究を進展させることができたため、「おおむね順調に進展している」と評価をした。特に、本研究のインフォーマントであるA氏へのライフストリー・インタビュー調査を実施できたことは、来年度にハワイで実施予定の本格的なインタビュー調査に向け、大変重要なものであった。
また、オキナワ系アメリカ人が通った基地内のアメリカンハイスクール(クバサキ・ハイスクール)に関する一次資料の収集ができ、その資料を用いて、論文執筆に着手できたため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した研究計画通り、ハワイ州オアフ島において本格的なライフストーリー・インタビュー調査を行う。戦後沖縄の米軍基地で育ち、基地内の高校を卒業した後、「オキナワ系アメリカ」人の多くが、沖縄の施政権が日本に返還された1972年を境に、ハワイや米国本土に渡った。次年度は、クバサキ・ハイスクールの同窓会会員の最も多いハワイ州オアフ島で主なインタビュー調査を行い、アイデンティティ形成過程および故郷認識について考察する。インタビューは彼ら・彼女らの第一言語である英語で行う。また、研究成果をまとめた論文の執筆と出版に取り組む。
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