本研究では,日本の超高齢化社会での介護の負担を軽減するために,介護問題の一つである要介護者及び介護者の睡眠問題を改善することが,これからの日本にとって重要な課題となると考える.そこで,個人の睡眠特性に基づき介護環境を支援することで,要介護者に自己の状態についての気づきと,適度な距離感にて支援者との相互受容を促すことにより,介護者の負担を減らし,要介護者のみならず介護者の睡眠の質を改善する仕組みの構築を目的した研究に取り組んだ.具体的には,要介護者らに対して個人の睡眠特性に基づいた適切な声掛けや家電制御を行い,介護者・要介護者の睡眠の質を向上させるための主導的な行動変容を促し,さらに,要介護者のみならず介護者の情報を,要介護者の身内やケアマネジャー,担当医師など,彼らの支援者と共有することで,双方に相互受容を促し,適切なタイミングで適切な支援を受けることを可能とすることで介護環境と要介護者と介護者の関係性を改善し,要介護者と介護者双方の睡眠問題を改善することを目指した.
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