現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関連する理論と方法論の文献調査を進めることができた。特に、パネルデータに対する統計モデリング、将来予測、そしてモデル評価をどのように実現するかは本研究における方法論上の最大の課題であったが、これらの点について理解を深めプログラム実装の見通しが立った点は大きな進展と考えている。 パネルデータではサンプリングプロセスや調査対象者の脱落によって多くの欠損データが生じ、このことが分析プロセスにおけるパネルデータ特有の扱いにくさを生じさせる一因ともなっていたと考えられる。しかしながら、このような状況にも本研究で採用するベイズモデリングの枠組みで観測データを効果的に活用しながら対応できることがわかった。また、将来予測やモデル評価も欠損データの推定と密接に関わっていることがわかり、これらの先行知見をもとに本研究におけるパネルデータ分析に関する方法論上の土台を整えることができた。 また、国外における関連学会で研究報告を行い、そこでの議論を通じて主観的ウェルビーイングと社会的排除との関連を本研究の文脈で検討する必要性についても示唆を得ることができた(「Subjective Well-being for NPO Marketing and Evaluation in Japan」『The 47th Annual ARNOVA Conference』, Hilton Austin, Austin Texas, USA, (November 15 2018))。 なお、初年度の間に論文投稿することを予定していたが、今年度投稿することとした。これは、文献調査結果を踏まえ統計モデルの再検討が必要と判断したためである。この再検討によってベイズモデリングによるパネルデータ分析を行う意義も上述のように整理できた。したがって、初年度としては順調な進捗状況であると判断した。
|