研究課題/領域番号 |
19K20926
|
研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
鈴木 伸生 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (30827241)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 社会関係資本(ソーシャル・キャピタル) / 集団 / 統計的社会ネットワークモデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,集団を対象に継続的な社会調査を実施し,そのパネルデータを統計的社会ネットワークモデルにより分析することで,集団における社会関係資本の構成要素と機能間の循環的相互作用メカニズムを解明することである.本年度の研究成果は,以下の通りである. 後述するように,今年度もコロナ禍による影響のために,肝心のデータ収集作業を進めることができなかった.そこで,申請者のアクセス可能なパーソナル・ネットワークに関するパネルデータ(5期10年分)を用いて,近隣ネットワーク・ダイナミクスのパターンおよびその規定要因の解明を検討した.1つのコミュニティ集団(岩手県大船渡市民)を対象とした10年間の個人追跡調査(確率標本)データを分析した結果,第1に,情報交換ネットワークサイズでは,3パターン(孤立型,逆U字型,減少)が尤度を基準に抽出された.孤立型を基準カテゴリーとして,各パターンの規定要因を検討した結果,階層の高い者ほど,孤立型ではないパターンに所属する確率が高かった.第2に,物々交換ネットワークでは,情報交換ネットワークとはやや異なる3パターン(孤立型,一時的に減少後に逆U字型,減少)が尤度を基準に抽出された.孤立型を基準カテゴリーとして,各パターンの規定要因を検討した結果,若年者ほど,既婚者の方が孤立型ではないパターンに所属する確率が高かった.以上の知見は,集団内部のネットワークダイナミクスパターンを分析・解明する際には,マクロ(地域・集団)レベルの全体変動パターンだけでなく,個人レベルの変動パターンの異質性・多様性にも焦点を当てる必要性を示唆している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
延長申請にあたる本年度には,本研究計画の核である調査の実施および,その調査によって得られたデータの分析を行う予定であった.しかしながら,新型コロナウィルス流行下での複数の調査方策を検討したものの,いずれの案でも実現可能な調査を実施するまでには至らなかった.それゆえ,本研究計画を来年度にも延長して,コロナ渦でも調査を実現するための以下の次善策を採用して,本研究を遂行する.
|
今後の研究の推進方策 |
上記の「現在までの進捗状況」で述べたように,来年度には,調査とデータ分析を完遂するために,本計画書に記載した調査対象者を変更し,申請者の所属大学の学生を対象にウェブ上での集団調査を実施することによって,データの収集・分析を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
上述の通り,本年度には,本研究計画の核である調査の実施および,その調査によって得られたデータの分析を行う予定であった.しかしながら,新型コロナウィルスの流行に伴い,肝心の調査対象集団に対する調査を実施できなかった.それゆえ,本研究計画を来年度にも延長して遂行するために,調査に必要な金額を確保した.
|