研究課題/領域番号 |
18H05741
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 織恵 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任助教 (70825075)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 学校自己評価 / 教職員間の協働 / 現場での適用 / 目標設定 |
研究実績の概要 |
これまでの先行研究では、学校評価の効果として教職員間の協働に着目した研究は少なく、とりわけ目標設定の主体に誰が位置づけられるかの実態や、その主体と教職員間の協働との関連性については実証的に検討されてこなかった。本研究では、日本の各学校における学校評価の実践を対象に、目標設定から学校評価の協議に連なる一連のプロセスを検討している。こうした検討により、目標設定への教職員参加が、学校評価の効果的な活用につながるための学校条件や、学校評価における対話と合意形成のプロセスに関する新たな知見を得る。昨年度の研究では、A大規模自治体とB中規模自治体、C小規模自治体の小中学校を対象に、教職員の学校評価への参加が教職員間の協働につながるメカニズムを明らかにした。具体的には以下の作業を行った。 ①目標設定と評価の段階の協議の様子の観察:教職員間の協議の観察記録は、録音や撮影を行った上でコーディングし、協議が協働につながっているのかを明らかにした。 ②校長や教員へのインタビュー:自己評価のPDCAの各段階における具体的な評価の実施方法や校長と教員の役割分担について質問するとともに、学校評価の成果と課題についてヒアリングを行い、先進事例においては協働につながる促進要因を、停滞事例においては協働につながらない阻害要因を明らかにした。 ③以上の作業から抽出されたコードをKJ法により再構築し、学校評価への参加から協働につながる過程のストーリーを描き出した。 A大規模自治体における調査・分析結果は2019年5月に世界比較教育学会で発表予定であり、B自治体及びC自治体の調査・分析結果は別学会へ投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
4事例での事例調査がすでに完了しており、残り2事例での事例調査を残すのみである。すでに実施済の調査については、コーディングや分析まで終了している。現段階で、A大規模自治体において、学校自己評価結果を学校独自の課題に基づいた教育課程の編成に結びつけることができていない状況が明らかになっている。またB中規模自治体とC小規模自治体においては、学校自己評価の実践における校長やミドルリーダーの影響力が明らかとなってきている。これまでの調査で、自治体要因や学校要因が一定程度、学校自己評価の実践に影響を与える過程が明らかとなってきており、「学校評価への教職員参加が教職員間の協働につながる条件と、そうした条件が学校評価の実施方法とその効果につながるプロセスを、学校段階や自治体規模による違いに着目しながら明らかにする」という研究目的が一定程度達成されていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は合わせて自治体向けの質問紙調査を行い、自治体要因が学校評価の実施にどれほどの影響を及ぼし得るのか、量的調査を用いて再検証する予定である。今年度は新たに中学校2校で事例調査を行い、これまで行ってきた質問紙調査結果と合わせて考察する予定である。また、これまで行った事例調査・分析結果は、今年度、海外と日本の論文に投稿予定である。
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