本研究は、日本人英語学習者の言語学習動機づけプロセスについて、英語学習経験の回顧的分析・解釈の観点から、質問紙による量的調査とインタビューによる質的調査を合わせた混合研究を用いて行うことを目的とした。研究は2段階に分けて実施し、第1段階では、大学生を対象としたオンライン質問紙調査によって収集したデータを潜在プロファイル分析の手法を用いて分析し、7つの異なる動機づけの特徴をもったサブグループを抽出した。第2段階では、第1段階の調査によって得られたグループからさらに対象者を抽出し、インタビュー調査を行うことで詳細に英語学習経験を分析した。過去の年度では新型コロナ感染症の感染拡大の影響を受け、研究の進行に遅れが出ていたが、2022年度をもって計画されていた研究を終了した。2022年度は、2021年度に引き続いて研究を実施し、対象者のこれまでの英語学習経験に関するインタビュー調査を行った。分析は各対象者の学習経験と動機づけの変容について、英語学習者の周囲の学習環境との関係性について着目して行った。これらの結果、日本人英語学習者個人がもつ動機づけや英語学習に対する態度は、教室内での英語学習経験や教師との関係性に関連した要因、教室外での英語学習や使用の経験に関連した要因、英語教育制度や社会における英語の役割などに関連した要因など、複数の層からなる学習環境に関する要因によって形成されることがわかった。これらの研究成果については、2022年度に国際学会での発表を行っている。また、最終的な成果については今後広く公開する計画である。
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