研究課題/領域番号 |
19K20946
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
青木 浩幸 国際基督教大学, 教養学部, 助教 (90826439)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 初等教育プログラミング / 教育用プログラミング言語 / 協調プログラミング環境 / 主体・対象タンジブル |
研究実績の概要 |
研究も後半に差し掛かり,一般への普及形態を考慮したプログラミング環境の構築と,初等教育の学習者向けにプログラム動作の認知向上を図り,技術的および理論的検討を進めた。実証的研究について,新型コロナウイルス感染症の流行による制約と同時に発生した半導体不足の影響を受けて停滞したが,期間延長により十分な検討時間を確保することができた。 昨年度まではプログラム実行主体の相互作用対象のみを実体化した「対象タンジブル」による体験的協調プログラミング環境を検討してきた。プログラム実行主体をバーチャル表現としたのは,プログラムの妥当性を明らかにするために実物の不確定動作を排除するために適切な方法と考えられたためである。 今年度,拡張現実技術(AR)の研究者(長崎大学瀬戸崎典夫研究室)と交流し,それをきっかけに空間拡張現実環境の再検討を行った。その結果,プログラミング環境の概念を主体と対象の両方を実体化する「主体対象タンジブル」に拡張することにした。初等教育段階の学習者にとって「主体の実体化」は大きな魅力要因であり,主体に自分自身を投影してプログラムを考慮できるメリットがある。この実体主体をAR認識によってフィードバックをかけることで正確な制御との両立が期待できる。 主体の実体化に伴う,ARと連携する安価な動作主体の開発,実体主体と関連づけられたプログラムコードの表現と操作インタフェースの検討が課題として残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行の影響により実施できる研究活動に制約を受けた。特に,実体験を伴う研究であるため,被験者に実物を触らせられない状況は大きな障害となった。また,実証研究用の普及形態のプロトタイプとして検討していた機材が半導体不足により発売が遅延された。結果的に何とか年度内に購入したものの,開発は次年度に持ち越しとなった。購入した機材は,映像処理のDGPUの性能が十分に引き出せておらず,目下調整中である。 実証研究ができなかったことにより研究成果が構想だけにとどまったため,発表や論文化は見送らざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
感染症第5波の流行がある程度収束し,次年度では対面での研究実施の見通しがついてきたことから,さらに1年の期間延長申請を行い,開発と実証研究を完成させる。 普及形態の協調プログラミング環境と,主体・対象タンジブルインターフェイスの実現,利用者によるユーザビリティ検証を行いつつ,プログラミング課題の開発蓄積を行なっていく。研究成果の学会での発表や論文執筆を行い,公表に向けてWebサイトもしくはGitHubの整備を始める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い実証研究が次年度に持ち越しとなったこと,半導体不足による使用機材の発売開始が遅れたことをきっかけに,時間をかけて検討を重ね開発機材の構想に変更が生じた。普及形態の簡素化により,プログラミングテーブルの簡素化(商用品の流用)の一方,プログラムの実行主体の実体化に伴う移動体の制作が追加された。あとは持ち越された実証研究の実施費用である。
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