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2018 年度 実績報告書

学校数学における統計的探究能力の育成に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H05751
配分区分補助金
研究機関日本女子大学

研究代表者

大谷 洋貴  日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (40825238)

研究期間 (年度) 2018-08-24 – 2020-03-31
キーワード統計教育 / 数学教育 / カリキュラム / 統計的探究 / 教科横断的な指導 / 推論主義
研究実績の概要

本研究の目的は,統計的探究能力の育成を目指した能力ベース統計カリキュラムを開発するために,統計的探究能力の段階的な発達過程を構築することである。統計的探究プロセスを実現しようとする国内外の先行研究は多くみられ,次期学習指導要領においてはそれが算数・数学科の指導内容として明示的に位置づいているが,その能力がいかにして育成され得るかに取り組む研究はほとんどなされていない。
そこで,2018年度においては,カリキュラム開発のための理論的基盤を整備することに中心的に取り組んだ。本年度の研究成果は大きく次の3点にまとめられる。第一に,Wild & Pfannkuchが示した統計的探究プロセスについて,統計に特徴的な「Problem」と「Plan」の相により焦点をあて,可能性のある段階的な発達過程を国内外の先行研究の知見に基づいて構築するとともに,その視座から我が国でこれまで取り組まれてきた研究成果を分析して,そこで記述されている学習者の様相がどのように特徴づけられるのかを再解釈した。第二に,統計的内容が算数・数学科以外の教科でも潜在的に取り扱われていることから,理科と社会科においていかなる統計的探究がなされ得るのかを明らかにし,算数・数学科との関連がどのように作られ得るのかを検討した。第三に,カリキュラム開発のための理論的背景として,現代哲学である推論主義を参照しながら推論主義に基づく統計指導のあり方や問題点等について検討した。

Wild, C. J. & Pfannkuch, M. (1999). Statistical thinking in empirical enquiry, International Statistical Review, 67(3), 223-265.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カリキュラム開発のための理論的基盤を多角的に検討することができた。実践的検討にはまだ十分に着手できていないが,昨年度の成果をもとに分析を進め,順次学会等で発表していく予定である。

今後の研究の推進方策

昨年度の研究成果を踏まえつつ,さらなる理論的検討だけでなく授業の実施・分析を通した実践的検討を同時並行的に進め,統計的探究能力の段階的な発達過程を構築するとともにそのためのカリキュラムを検討する。研究成果は逐次まとめ,学会発表および論文投稿を進める。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 数学教育における推論主義の可能性 ―学力調査で求められる実践的知識としての統計的概念に関する批判的考察―2019

    • 著者名/発表者名
      上ヶ谷友佑・大谷洋貴
    • 雑誌名

      全国数学教育学会 数学教育学研究

      巻: 25(1) ページ: 67-76

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 初等教育段階における教科横断的な統計指導に向けた基礎的考察-統計的探究に着目して-2019

    • 著者名/発表者名
      大谷洋貴・五十嵐敏文
    • 雑誌名

      初等教育カリキュラム研究

      巻: 7 ページ: 1-14

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 概念発達のウェブモデル:推論主義に基づく中学1年生の対話分析からの示唆2018

    • 著者名/発表者名
      上ヶ谷友佑・大谷洋貴
    • 雑誌名

      日本数学教育学会 秋期研究大会発表集録

      巻: 51 ページ: 89-96

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 推論主義を視点とした統計単元の特徴:教科書の問いの分析を通して2018

    • 著者名/発表者名
      大谷洋貴・上ヶ谷友佑
    • 雑誌名

      日本数学教育学会 秋期研究大会発表集録

      巻: 51 ページ: 443-446

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 統計的問題解決において文脈はどのように考慮されるのか?:大学生の反応の推論主義的分析2018

    • 著者名/発表者名
      大谷洋貴・上ヶ谷友佑
    • 雑誌名

      日本科学教育学会研究会研究報告

      巻: 33(3) ページ: 155-160

    • DOI

      https://doi.org/10.14935/jsser.33.3_155

  • [雑誌論文] 学習者にとって何が本当に「困難」なのか? ―中学2年生の代数的操作に関する「擬困難性」の推論主義的分析―2018

    • 著者名/発表者名
      上ヶ谷友佑・大谷洋貴
    • 雑誌名

      日本科学教育学会研究会研究報告

      巻: 33(3) ページ: 161-166

    • DOI

      https://doi.org/10.14935/jsser.33.3_161

  • [学会発表] 初等教育段階における教科横断的な 統計指導に向けて(Ⅱ)2019

    • 著者名/発表者名
      大谷洋貴・五十嵐敏文
    • 学会等名
      初等教育カリキュラム学会第3回大会
  • [学会発表] 推論主義と計量言語学の邂逅―中学2年生の証明観のサンプル分析―2019

    • 著者名/発表者名
      上ヶ谷友佑・大谷洋貴
    • 学会等名
      全国数学教育学会第49回研究発表会
  • [学会発表] 教科書における統計的問題の推論主義的分析2019

    • 著者名/発表者名
      大谷洋貴・上ヶ谷友佑
    • 学会等名
      全国数学教育学会第49回研究発表会
  • [学会発表] 統計的探究能力の育成に向けた基礎的考察2018

    • 著者名/発表者名
      大谷洋貴
    • 学会等名
      全国数学教育学会第48回研究発表会
  • [学会発表] 日本の数学教育における推論主義の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      上ヶ谷友佑・大谷洋貴
    • 学会等名
      全国数学教育学会第48回研究発表会

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公開日: 2019-12-27  

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