研究課題/領域番号 |
18H05757
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | エリザベト音楽大学 |
研究代表者 |
高瀬 裕人 エリザベト音楽大学, 音楽学部, 講師 (30823083)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 読むこと / 国語科 / フィードバック / 形成的評価 / 理解方略 / 理解の成果 |
研究実績の概要 |
本研究は、「読むこと」の学習指導において、学習者の理解の深化に資する教育評価の方法を明らかにすることを目的としたものである。 本研究における目的を達成するために、本年度は大きく以下に示す二つのことに取り組んだ。 (1)文献調査をもとに、「読むこと」の学習指導におけるフィードバックの類型化を図る。 (2)授業観察をもとに、「読むこと」の学習指導におけるフィードバックがどのように活用されているかを検討したうえで、「読むこと」の学習指導において理解の深化に資するフィードバックモデルと、必要なツールを開発する。 ①について、日米の文献をもとに、「読むこと」の学習指導におけるフィードバックを充実するために、学習者の取り組みの質を見とる観察眼と、学習者の取り組みの質を見極める分析力が重要であることを明らかにした。その際、学習者が意図的に使用する「理解方略」と、理解方略を使用したことによる「理解の成果」を、観察と分析の際の視点と位置付けることが効果的なフィードバックを行ううえで重要であるという考えを導出した。これらの視点をもとに、教師からのフィードバックについて考察する中で、教師の言葉がけの機能に着目して類型化を図ることができたことは、本年度の研究の成果である。 ②について、上記の類型化をもとに、授業観察を行い、教師の言葉がけを分析・考察した。「読むこと」の学習指導における、学習者の取り組みについて「理解方略」と「理解の成果」を見とったうえで言葉がけを行っていることが確認することができた。こうした授業観察をもとにした分析・考察を踏まえ、「読むこと」の学習指導における理解の深化に資するフィードバックモデルをより精緻化していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)に関しては、日米の著作をもとにした文献調査をおおむね予定通り進めることができ、教師の言葉がけの機能に着目して類型化を図ることができた。この点に関しては、来年度も引き続き文献調査ならびに授業観察を実施することを通して、さらに精緻化していく予定である。 (2)に関しては、授業観察を通して、教師の言葉がけを分析することで、フィードバックモデルを構想することができた一方で、教師からのフィードバック、学習者からのフィードバックを活性化するために必要なツールを十分に開発するに至らなかった。この点に関しては、より多くの授業観察の機会を設け、ツールの開発を進めるとともに、ツールの効果を検証していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度得られた知見を活かしながら、「読むこと」における理解の深化に資するフィードバックモデルをより精緻化していくために、教師からのフィードバックとともに、学習者からのフィードバックを活性化するための要件と必要なツールに関する検討を進める。 そのため、引き続き文献調査を進めるとともに、本年度よりも多くの授業参観を行い、その様子について分析・考察することを通して、「読むこと」における理解の深化に資するフィードバックモデルの精緻化を図るとともに、実際の授業の中で活用可能なツールの開発し、その効果の検証を進めていく予定である。
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