知的障害者が「誰とどこに住むか」。国際的な見地からも、知的障害者の権利保障に対する関心は高まっている。しかし、我が国では、成人後も家族と暮らし続ける知的障害者が大半を占めるなど、親元を離れて暮らすことについての議論は十分でない。本研究は、一人暮らしやパートナーと暮らす知的障害者に焦点を当て、親元からの独立は、本人のQOLにどのような影響を与えているのかを検討した。日本、デンマーク、オーストラリアにおける調査を通し、制度や資源の有無は親元からの独立の機会を左右するが、家族や支援者の存在や関わりが独立のタイミングや選択、その後の本人のQOLに大きな影響を与えていることを指摘した。
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