研究課題/領域番号 |
18H05760
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
山垣 友里 (今泉友里) 茨城大学, 教育学部, 助教 (00821662)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 教師教育 / 教職専門開発学校 |
研究実績の概要 |
教育学部や大学の教師教育プログラムと学校や学区が連携し、長期のインターンシップや人材の交流を通じて教師教育と学校改革を支えるPDS(教職専門開発学校)の取り組みについて、その歴史的展開を整理することで、教職大学院をはじめとする日本での教師教育の高度化への示唆を得ることを目的に、研究を進めた。 具体的には、PDSの推進に関わるNAPDS(全米教職専門開発学校協会)等の団体の情報を収集し、沿革、発信内容、年次大会の結果等を整理した。内実の変化を探るため に、PDSの理念を打ち出した書籍・論文・宣言文、NAPDSの年次大会の報告内容 、NAPDSによって表彰された実践について調査した。 PDSが変化してきた側面を具体的に見ると、もともとは教師教育の変革が目指されていたが、実際にはオルタナティブな教師教育の経路として普及してきた。また学校の認証評価が定着したことで、学校改革の側面が充実した様子が見られた。特にNAPDSでは持続可能性、協働、リーダーシップというテーマが注目されてきたことが明らかになった。 また、PDSと日本の教職大学院と比較すると大学と学区(日本の場合は教育委員会)との人材の交流の仕組みが異なっていた。教職大学院では現職の教師を学生として受け入れて実践研究の機会を作ることで成長を支えているのに対し、PDSでは現職の教師を大学のスタッフや学校内での指導者とすることで協働の中で他者を支援し教育することが当人の職業上の成長につながるという状態を作り出していた。一方で、このような大学と学校の間に立ってPDSを支えるスタッフの立場については、様々なPDSの中で模索が続いていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実地調査で計画していた授業の観察ができず、現状の把握が不十分になった。しかし、PDS関係者の紹介を受けてNAPDSの大会に参加できたことで、NAPDSの全体的な現状については把握しやすくなった。メールでのやり取りなどを通じて、調査の不足を補いたい。 本年度は論文等での研究成果の発表に至らなかったため、来年度早い段階で途中段階での研究成果の発表を行えるように準備したい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究計画に沿って、PDSの変化の整理と本質の同定を行いたい。また今年度の研究によって、日本の教職大学院との比較の際、人材交流の在り方を含めた環境やカリキュラムと教師教育全体の中での位置づけの違いの2点に注目するという方針が立った。
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