教育学部や大学の教師教育プログラムと学校や学区が連携するPDS(教職専門開発学校)の取り組みと日本の教職大学院とを比較することで、日本での教師教育の高度化への示唆を得ることを目的に研究を進めた。 具体的には前年度に整理したPDSの発展段階と理念を日本の教職大学院と比較した。比較にあたっては一般財団法人教員養成評価機構の教職大学院の認証評価の評価結果に用いられた言葉を分析するなどした。PDSは大学や学区が資金、人材、計画立案や運営の面でも組織的にまた組織を超えて連携し、長期のインターンシップを中心に理論と実践を架橋する教師教育と学校改革を支える仕組みであり、30年以上の実践の蓄積を持つ。発展段階については、日本の教職大学院はPDSに比べて急速に進んだこと、学生への教育の制度が整っている一方で学校と大学院の間の組織的連携や融合はPDSの場合ほどは重視されていないこと、現職教員が入学できるという特徴がありその現職教員を教育委員会が派遣するという制度があること、という3つの相違点が明らかになった。教育理念としては教職大学院とPDSは類似した言葉を用いていることが明らかになった。 またNAPDS(全米教職専門開発学校協会)の年次大会では近年リーダーとなる教員や校長候補者向けのPDSプログラムの開発が注目されるテーマになっていた。日本の教職大学院では現職教員向けのコースが開講されたり、現職教員が入学したりしているケースが多く、日本でもリーダーとなる教員の育成のためにこのような制度の活用が重要になってくることが予想される。
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