研究課題/領域番号 |
19K20956
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
松田 弥花 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 助教 (20824171)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Social Pedagogy / 教育福祉 / 社会教育 / 生涯学習 / スウェーデン / 北欧 / Social Pedagogue |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本における教育福祉実践の担い手の在り方を模索するため、スウェーデンにおけるSP(Social Pedagogy)の理論構造及びSPの専門職であるソスペッド(Social Pedagogue=Soc-ped)の専門性を、教育的観点から原理的・実証的に解明することであった。 2019年度に実施した内容と得られた成果は以下の通りである。 1.学校におけるソスペッド配置の意義:近年、スウェーデンの学校において、集団づくりや対人関係に関する悩みを抱える児童生徒たちに寄り添う専門家としてソスペッドを雇用するという新たな動きがある。この状況を踏まえ、ソスペッドが雇用される背景や制度的位置づけを明らかにするため、資料分析や学校関係者へのインタビュー調査を行ったところ、全ての児童生徒が居心地よく学校生活を送るための予防事業の一環であることが分かってきた。 2.学校におけるソスペッドの専門性:学校におけるソスペッドの専門性とは何かを探究するため、ソスペッド及び他専門職(学校看護師、言語療法士、特別教員、教員、余暇指導員)へのインタビューを行い、得られた回答を比較分析した。ソスペッドは、教育的・福祉的視点を有しており、その専門性をもって各専門職をつなぐ媒介項となっていることが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「やや遅れている」を選択した理由として、主に以下の2点が挙げられる。 1.2019年度末に、これまでとは異なる学校(学校B)で調査をさせて頂き、これまで調査で入らせて頂いていた学校(学校A)と比較検討を行う予定であったが、Covid-19の影響により調査を実施することができなかった。 2.SPの理論検討が不十分であった。学校におけるソスペッドの実践から、「教育」と「福祉」の関係を多少見ることができたが、学校で雇用されるソスペッドの多くは、養成課程にて治療教育や余暇教育を学んでいることが分かってきた。これまで着目してきたSPの「教育」と「福祉」的側面だけではSPを捉えきれないという新たな課題が生じてきた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、現地調査が可能になり次第、2019年度に実施できなかった学校Bでの調査を実施する。学校A同様、ソスペッド及び他専門職へのインタビューを実施した上で、学校Aの調査データと比較検討し、地域間での相違点やソスペッドによる実践の類似点を探究する。 SPの理論検討については、文献調査や、ソスペッドへのオンラインでのインタビュー調査を実施し、学校におけるSP実践にみる「教育」と「福祉」の関係について考察を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響により、現地調査を実施することができなかった。現地調査が可能になり次第、予定していた調査を実施する。
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