研究課題
本研究の目的は、日本における教育福祉的実践の担い手のあり方を構想するため、スウェーデンにおけるSP(Social Pedagogy)の理論構造及びSPの専門職であるソスペッド(Social Pedagogue =Soc-ped)の専門性を、教育的観点から原理的・実証的に解明することであった。そのために、(A)SPの原理を追究するための資料分析(1~2年目)、(B)SPの独自性を追究するための近隣領域との比較研究(2年目)、(C)SPにおける教育と福祉の融合構造を解明するための理論・実証研究(1~2年目)を行った。具体的には、近年、スウェーデンの学校でソスペッドの雇用が増加している状況に鑑み、その政策的・社会的背景や、ソスペッドが担い得る役割を他専門職との比較を通じ明らかにすることを試みた。Covid-19の影響により研究期間を1年間延長したものの、2020年度は渡航することができず、計画通りの現地調査を行うことができなかった。そのため、これまでに得られた知見と調査データを再検討し、まとめなおす作業を行った。最終年度で得られた知見は以下の通りである。①近年のスウェーデンは福祉国家体制維持の困難や社会の分断という課題に直面しており、その中で共同居住施設や学校などでソスペッドの雇用が増加している。②その背景として、ソスペッドの実践の目的の一つに人びとの社会参加を促進することがあり、特に社会的周縁にある人びとが、無理なく社会とのつながりを形成できるような共同体を再構築することに長けている点が期待されていると考えられる。③学校現場においては、分断が進みやすい移民が多い地区において、教育福祉的観点を持ったソスペッドが、児童及び教職員の集団づくりに貢献していることが明らかとなった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件)
Croatian review of rehabilitation research
巻: 56 ページ: 1~18
Working Paper Series in United Nations University Project “Reinforcing Societal Resilience by Promoting Education for Sustainable Development (ESD)”
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北ヨーロッパ研究
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