最終年度においては、静岡県賀茂地域教育センターにおける教育行政の連携と補完の取り組み事例について論文の執筆を進めた。前年度に実施したヒアリング調査に加えて、静岡県教育委員会事務局から検討過程の協議資料及び会議議事録の提供を受け、事実の確認を進めながら考察を行った。 地方自治法が定める連携協約制度及び機関等の共同設置に基づく指導主事の配置や幼児教育アドバイザーの新設は、地域における指導行政の充実に寄与したといえる。他方で、職員の人事上の取り扱い(県職員、市町職員、複数市町による共同設置職員の違い)や職務遂行にかかる事務処理上の課題などが明らかとなった。 研究進行と同時期に、中央の地方制度調査会において人口減少社会における地方制度のあり方について連携・補完のあり方が検討されており、政策動向として参照する機会が多かった。地方教育行政の組織及び運営に関する法律は地方自治法の特別法ではあるが、本研究が対象とする連携・補完は地方自治法の規定の範囲内であり、教育行政の広域化における二法の制度上、運用上の異同、齟齬について今後考察を深める必要があることも明らかとなった。
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