研究課題/領域番号 |
18H05771
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
高橋 亘 神田外語大学, 留学生別科, 講師 (60823193)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 日本語多読 / 多読活動支援者 / マニュアル / 日本語教育 / 自律的教室外多読 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年発展の目覚ましい日本語多読を学習者側と支援者側の意識とを統合して分析し、日本語多読活動を円滑に、かつ効果的に運営するための新たな支援者用マニュアル開発を行うものである。これまでの日本語多読研究は、実践報告や学習者の意識を分析した研究はなされているものの、実際の活動実施を担う支援者側の意識や学習者への効果的なサポート方法に関しては明らかにされてこなかった。 これらのことから、本研究の目的として以下の 3点を設定した。1点目に、日本語多読支援者がどのような背景で活動を運営しているかを明らかにすることである。2点目に、日本語学習者及び日本語多読支援者が多読活動に対して持つ意識を明らかにすることである。3点目に日本語多読活動支援者が学習者をサポートする際の効果的な方法を分析し、日本語多読支援者が活動の指針となるようなマニュアル開発を行うことである。 以上の目的を達成するため、平成30年度には、以下のことを実施した。①先行研究の文献をさらに読み込み、日本語多読の理論的背景をより深めた。②国内外教育機関における多読活動元参加者(学習者)に対し、質問紙調査及び縦断的インタビュー調査を継続した。さらに、③支援者に対する調査実施にあたり、パイロット調査を行い調査項目の精緻化を行った。これらの作業をもとに、④活動支援者に対する本調査(質問紙調査とインタビュー調査)を実施した。今後は、調査数を増やし、詳細に分析を行うことによって、より多様な環境で多読を実施する支援者が持つ意識を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、大きく以下の6点を実施した。 まず、これまで申請者が継続的に研究してきた①日本語多読に関する先行研究の最新事情のほか、第二言語教育における多読に関する先行研究の読み込みを行った。また、本研究の調査方法である質問紙調査とインタビュー調査をはじめ、分析方法に関する先行研究にも当たり、理解を深めた。 また、より精度の高い調査にするために②本調査前のパイロット調査を実施し、調査項目の精緻化を行った。調査では、1) 国内外の日本語多読の実施形態や、活動を行うきっかけや理由、2) 支援者はどのような支援方法が有効だと感じているのか、3) 支援者は活動運営時にどのような点に困難さを感じているのか、4) 多読活動の方法について支援者はどのような意識を持っているのか、という項目等について、検討を行った。 上記の作業を踏まえて、支援者と学習者の両者を対象として、本調査を実施した。まず、③国内外の多読活動支援者を対象とし、それぞれの教育機関における活動運営実態について、質問紙調査を実施した。また、④支援者が多読活動に対して持つ意識について質問紙調査を実施し、回答者を対象とした個別インタビュー調査を開始した。さらに、⑤これまで申請者が実施してきた国内外日本語教育機関における多読活動参加者/元参加者(日本語学習者)への調査を行った。具体的には、多読活動に対する意識を問う質問紙調査(国内機関)と、学習者個人を対象とした聞き取り(国外機関)を行った。このインタビュー調査は、これまで継続して実施している縦断的インタビュー調査であり、教室外においても自律的に日本語多読を継続しているのかについて、また、自身による多読実施に対する意識を聞いた。 ⑥研究発表面では、今年度(平成30年度)は論文が2本掲載されたほか、研究発表を3回行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究の目的を達成するため、以下の8点を実施する。 ①これまで収集した日本語学習者に対するインタビュー調査データの分析作業を実施する。そして、②国内外で授業外多読活動に参加した学習者が、自律的に教室外で読みを継続しているのかどうか、また継続している学習者にはどのような特徴が見られるのかをさらに明らかにする。 また、③日本語多読支援者に対する質問紙調査の分析を行い、支援者の意識の傾向を明らかにする。さらに、④インタビュー調査によって支援者に詳しく意識を聞き取り、学習環境や教育機関別に日本語多読活動を実施する上での困難点や解決方法を探っていく。また、前年度に引き続き、⑤授業内で多読を実施する学習者の意識に関する質問紙調査の実施および分析、⑥国内外の多読活動元参加者に対する追跡インタビュー調査を実施する。以上の調査分析をもとに、引き続き⑦研究成果の発表、および学会誌への投稿を行う。以上の成果を踏まえ、⑧日本語多読活動支援者向けのマニュアルの開発を行う。
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