研究課題/領域番号 |
18H05773
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 桐朋学園大学 |
研究代表者 |
江口 和美 桐朋学園大学, 音楽学部, 講師 (50820453)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 一般財源化 / 就学援助費 / 財政移転 / 地方分権 / 地域間格差 |
研究実績の概要 |
2018年度は、先行研究等の文献収集、文献調査に重点的に取り組んだ。また、2019年度実施予定の全国市町村対象の郵送調査をより有意なものとすべく、2県54市町村を対象に郵送調査を実施、加えて、3市を対象に教育委員会の予算編成過程に関する半構造化面接調査を実施した。 従来の研究では、国の補助が一般財源化されると、施策実施の地域間格差が拡大すると指摘されてきた。しかし、自らのこれまでの研究成果から、国の補助が一般財源化されたことより、交付税算定方法によって生じる実経費に占める財政移転割合の差が地域間格差を拡大させる要因であると捉えることができる。そのため、市町村単位で就学援助の実経費に占める基準財政需要額(地方交付税額)の割合を試算することとした。 しかし、地方教育費調査等の政府の統計や調査は都道府県単位でしか公表されていないものが多く、市町村単位での試算が不可能である。そこで、市町村単位で就学援助の実経費に占める基準財政需要額(地方交付税額)割合を試算するために必要な項目に関し、政府統計・調査等の市町村毎データの提供依頼を郵送調査という形式で実施した。 また、就学援助の支給額や認定基準等の差は、教育委員会の予算編成過程や教育委員会や自治体内での関係者の力関係による可能性が考えられる。そのため、2019年度の全市町村調査に予算編成過程に関する項目も設定することを視野にいれた。質問項目の設定を厳選するため、想定される質問項目をベースとした予算編成過程に関する半構造化面接を3市教育委員会に対して実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画していた先行研究等の文献収集、文献調査に加え、2県54市町村を対象に郵送調査を実施、32自治体(回収率59.3%)から回答を得た。この郵送調査では、市町村単位で就学援助の実経費に占める基準財政需要額(地方交付税額)割合を試算するために必要な項目に関し、4年度分(2013年度から2016年度)の政府統計・調査等の市町村毎データの提供をお願いした。32自治体の4年度分をもとに分析をし、対象自治体数が少ないことから傾向を明らかにするには至らなかったが、次年度の全国市町村悉皆調査に向けて、調査項目の不足を見出すことができた。また、市町村単位でみれば、政府間財政移転の実経費に占める割合に想定していた以上に大きな差があることが確認された。 また、就学援助の支給額や認定基準等の差は、予算編成過程での教育委員会や自治体内での関係者の力関係による可能性も排除できないと考えたため、全市町村悉皆調査に予算編成過程に関する項目を追加することを想定し、3市教育委員会に対する予算編成過程に関する半構造化面接調査も実施した。その結果は、次年度の調査で問うべき項目の厳選に資するものであった。 予算編成過程に関する半構造化面接は、対象自治体を増やすことも検討したが、翌年度の全市町村悉皆調査の質問項目を検討するに必要であると考えられる結果は得られたため、3市教育委員会のみとした。 以上のことから、おおむね当初の計画通り順調に進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画通り、2019年6月に実施予定の全国市町村教育委員会に対する郵送調査(1,718市町村)の準備を進め、回収後はその結果分析と研究成果の公表にむけた論文執筆等に取り組む予定である。
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