先行研究では、国の補助対象の施策実施経費の一般財源化は、自治体の財政力の多寡による施策実施の地域差を拡大させるとされてきた。加えて、国会等の議論でも、それを前提とする議論が散見された。本研究では、就学援助制度に関して市町村調査を実施、結果をもとに試算、分析した。その結果、今回の調査結果の限りでは、政策選好等の影響もあり、財政力指数の多寡による地域差は明確にならなかった。しかし、地方交付税交付金の積算方法の影響で、受給児童生徒一人当たりの交付税積算額に約10倍の地域差の発生が確認された。また、援助率が高い自治体ほど国の補助よりも交付税措置の方が、財政保障の面で不利である可能性が指摘できた。
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