研究課題/領域番号 |
18H05775
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
江草 遼平 明治学院大学, 心理学部, 助手 (70826239)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | オラリティ / 聴覚障害 / 吹き出し |
研究実績の概要 |
平成30年度は、以下の研究を実施した。①デザイン指針立案:字幕に関する先行研究、視線計測に関する先行研究、ユニバーサルデザインに関する先行研究の収集・分析を行った。また、聴覚障害者当事者及び聴覚障害者に対する情報保障技術を先進的に取り扱う施設・団体から、情報保障に関する社会実装についての資料を収集した。それらを基に、聴覚障害者や障害学の専門家と協議し、デザイン指針を立案した。②基礎的な吹き出し型字幕の自動表示位置決定機能の評価:同機能は、吹き出しの位置を自動的に発話者近傍に接近させることで視線移動による情報喪失の低減を目的とした機能である。吹き出し型字幕の自動位置決定機能に関して、発話内容・発話者識別・発話者の表情を見ながらのコミュニケーション支援における情報保障の有効性を検討した。③ 基礎的な吹き出し型字幕のリアルタイム形状決定機能のデザインの検討:吹き出し型字幕の形状をリアルタイムに変化させる機能に関するデザインの検討を行なった。同機能は、吹き出しの形状や演出効果の変化によって発話者の声色や感情を表現する非言語的情報の保障を行う機能である。 今後は本デザインの検討結果に基づき,同機能について、プロトタイプシステムの開発に着手する。また、本年度得た成果については、査読ありの学術誌である、日本科学教育学会の『科学教育研究』および日本教育工学会の『日本教育工学会論文誌』に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度ではデザイン指針立案のために字幕に関する先行研究、視線計測に関する先行研究、ユニバーサルデザインに関する先行研究の収集・分析を行った。また、聴覚障害者当事者及び聴覚障害者に対する情報保障技術を先進的に取り扱う施設・団体から、情報保障に関する社会実装についての資料を収集した。先行研究の調査を進めていくにあたり、特に字幕に関する研究、視線計測に関する先行研究の分野で当初予定していた範囲を超えて資料を収集・分析する必要が発生した。そのため、以降の研究に遅れが生じ、2018年度当初予定では、年度内に基礎的な吹き出し型字幕のリアルタイム形状決定機能の開発まで完了予定であったが、これについて現在プロトタイプの検討中の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、①基礎的な吹き出し型字幕のリアルタイム形状決定機能の開発、②聴覚障害者を対象とした評価実験を実施する。①基礎的な吹き出し型字幕のリアルタイム形状決定機能の開発では、2018年度に収集した先行研究から検討したデザイン指針を基に、プロトタイプシステムの開発・プロトタイプシステムの評価・実験用システムの開発を行う。開発・評価にあたっては、聴覚障害者当事者にデザイン・評価のプロセスへの参加を依頼し、ユニバーサルデザインメソッドに基づく開発を実施する予定である。②聴覚障害者を対象とした評価実験では、①で開発された実験用システムを用いて、聴覚障害者当事者を参加者とした評価実験を実施する。
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