同じ授業を参観した教師たちの対話が重なることで、その語りは具体的なものから抽象的なものへと変化していくことが明らかになった。語りの内容が授業に於ける子どもの姿から、授業の目的や展開の仕方などへと変化する様子を捉えることができた。 語りの質的変化は、Round Studyの特性である4人以下のグループ構成、席替え、話しやすい雰囲気、語りが視覚的に残されることなどが、関与していることが明らかになった。こうした語りの中で、授業者自身も自分の行った授業を客観的に捉え直すことができ、そこから改善点ばかりでなく、自分の授業のよさについても自ら気付いていった。 こうしたことから、Round Studyという教員研修の手法の効果の有効性として、次のような点があげられる。①Round Studyに臨むために一人一人の教師が授業中により具体的に子どもの姿をみとろうとし、それがRound1の語りの中心となるとともに、お互いにどのような視点から子どもの姿をみとればよいのか学び取ることができる。その相乗効果で一人一人の教師の子どもをみとる視点が豊かになる。Round 2でも同様な効果がある。②子どもの姿を語ることが、自然と授業のねらいや展開の仕方、あるいは、単元全体の構造など、授業を構成する様々な要素への語りへとつながっていく。具体から一般化できる要素を導き出すという現場の教師しかできない授業づくり、求める授業の探究が協働的に行われる。③語りの内容が一般化できる要素へと収斂されることで、他の教科等の授業の展開や方法へと転用可能になる。つまり、一人一人の教師のスキルアップへとつながっていく。④Round Studyを継続的に行うことが、日常的な教師間の対話を活発にし、それが、学校全体の雰囲気を変えていくことにつながる。Round Studyの効果の有効性という視点から、以上のことが明らかになった。
|