本研究の目的は、教師同士が人間関係上のトラブルを抱える生徒の生徒指導について話し合いを行うとき、その話し合いの場ではどのようなワークが組織され、それが生徒指導の方針決定に対していかなる影響を及ぼしているのか、ということを質的調査に基づき明らかにすることである。 この研究目的に即して、2018年度には(1)生徒指導論及び青少年研究を中心に先行研究・実践資料を渉猟して研究課題及び研究方法を整理し、(2)教師を対象として聞き取り調査を実施した。 (1)では、教育社会学を中心に生徒指導論、さらに生徒文化論及び特に下位文化論の課題を検討した。具体的には、先行研究・実践資料において、生徒指導に関する教師間相互行為としての「話し合い」という局面は主要な検討対象として研究の俎上に載せらていないこと、また下位文化論への着目を通じて「生徒集団」や「生徒グループ」といわれるものの捉られえ方が複層性を帯び、曖昧であることを課題として見出し、検討した。 (2)では、(1)に即して研究課題を具体的に設定した上で、聞き取り調査を実施した。聞き取り調査を通じて生徒のグループ離脱に関する事例をめぐる教師の認識に着目し、データを分析した。特に教師間での相互行為中に生じている特徴的な言語実践に焦点を当てて分析を進めた。 2018年度の研究成果は、2019年度の日本子ども社会学会第26回大会で発表予定とし、そこでの議論を踏まえて論文にまとめる予定である。なお、聞き取り調査は研究倫理に則って実施し、収集したデータは個人情報やプライバシーに配慮して管理・使用する。
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