研究課題/領域番号 |
19K20971
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
原田 拓馬 活水女子大学, 国際文化学部, 講師 (80825125)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生徒指導 / 教師間相互行為 / 話し合い |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教師同士が人間関係上のトラブルを抱える生徒の生徒指導について話し合いを行うとき、その話し合いの場ではどのようなワークが組織され、それが生徒指導の方針決定に対していかなる影響を及ぼしているのか、ということを質的調査に基づき明らかにすることである。 当目的に即して、2018年度には、(1)生徒指導論及び青少年研究を中心に先行研究・実践資料を渉猟して研究課題及び研究方法を整理し、(2)教師を対象として聞き取り調査を実施した。それに引き続き、2019年度には(3)聞き取り調査で収集したデータを分析し、日本子ども社会学会第26回大会で研究成果を報告した上で、論文執筆を進めた。 人間関係上のトラブルを抱える生徒の生徒指導の事例として、生徒のグループ離脱に関する特定事例を検討した。この特定事例をめぐる教師間での認識形成プロセスに注目し、質的調査を通じて収集したデータを分析した。調査は同一の調査対象者に複数回実施し、特に重点的な聞き取り調査により認識形成プロセスの細部を記述する方針を取った。教師の認識を起点として特定事例を時系列的に再構成する方法を採用した。 研究計画に即して、分析の着眼点は教師間での話し合い過程(相互行為過程)で生じている言語実践とした。教師同士は同僚教師との間でいわゆるジャーゴン(仲間だけに通じる特殊な言葉)を編み出し、秘匿化された言語実践を通して生徒の問題状況を理解しようとしていることが分かった。このジャーゴンの存在への論及は特徴的な研究成果といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教師間での話し合いの過程(相互行為過程)で生じている言語実践を分析してきた。生徒指導をめぐる教師間での話し合いが実際の生徒指導の方針に対していかに影響を及ぼしているのかについても検討を進めている。 ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により、論文執筆に向けて参加予定としていた研究会が相次いで中止となり研究成果のブラッシュアップが難しくなった。また調査対象者との調整も行うことができず、研究計画に修正が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を進める過程で、教師間での話し合いを経て生徒指導の方針が立てられる際、生徒指導には話し合いの結果に応じていくつかの実践類型が存在していることを仮説として導き出した。 新型コロナウイルス感染症の影響により研究計画に修正の必要が生じたため、今後、研究発表の機会を再設定し、また、現在進められていない調査対象者との調査データについての確認作業なども行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で、参加予定としていた研究会での研究成果発表や、調査対象者との打ち合せを実施することが出来なかったため、次年度使用額が生じた。翌年度は、研究会への参加、調査対象者との打ち合せなどを実施予定とし、主に旅費支出を計画している。
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