研究課題/領域番号 |
18H05789
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
坂口 真康 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教 (00819427)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 「共生教育」 / ナショナル・カリキュラム / 南アフリカ共和国 / Life Orientation / フィールド・ワーク / 教育省 / 高等学校 / 教員 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、南アフリカ共和国(以下、南ア)を事例として、ナショナル・カリキュラムとしての「共生教育」について教育社会学的観点から考察することである。その背後には、「共生教育」がナショナル・カリキュラムという「一つの基準」の下で営まれる際に「多様性の尊重」を確保するために重要となる要素を南アの事例から導き出すというねらいがある(課題④)。初年度にあたる今年度は、文献研究を通じた「共生教育」の理論的検討と南アの「共生教育」を担う教科であるLife Orientationの制度的理念等の分析に取り組んだ(課題①)。加えて、教育行政側の視点から本教科の理念や教員研修における重点事項等(課題②)や、本教科を担う教員の教育観等および本教科の授業実践の様態等(課題③)を明らかにするために、南ア西ケープ州におけるフィールド・ワークを実施した。 フィールド・ワークについては、2019年1月と3月に、南アの「共生教育」に関わる情報収集に加えて、教育省の行政官1名(1月と3月の両方で実施)と高等学校3校における教員計6名(内2名は1月と3月の両方で実施)へのインタヴュー調査ならびにLife Orientationの授業観察(計6回)を実施した。教育省の行政官を対象とした調査では主に、Life Orientationの近年の動向、本教科のナショナル・テストや教員研修会での重点事項等を明らかにするための質問を尋ねた。また、教員を対象とした調査では主に、多様性の尊重が核となっているLife Orientationにおいて、ナショナル・テスト等によりナショナルな基準が強化されることに対する教員の認識等を明らかにするための質問を尋ねた。本フィールド・ワークで得られたデータは今後とも分析予定であるが、今年度の最後には、現在までにまとめた分析結果をもとに、学会の大会で報告するための準備作業に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にあたる今年度は、研究に関わる情報収集、文献研究ならびに本研究の中核を担う南アフリカ共和国(以下、南ア)西ケープ州におけるフィールド・ワークをおおむね順調に実施することができた。特にフィールド・ワークについては、実査に関わる手続きが順調に進んだことに加えて、調査対象者の協力が得られたことにより、年度内に2度実施することができた。具体的には、2019年1月と3月に、南ア西ケープ州教育省の行政官1名(1月と3月の両方で実施)と高等学校3校における教員計6名(内2名は1月と3月の両方で実施)へのインタヴュー調査ならびにLife Orientationの授業観察(計6回)を実施することができた。以上が、「おおむね順調に進展している」と評価した理由である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度にあたる来年度は、今年度の研究を通じて得られた結果の分析を継続させるとともに、そこでの結果を踏まえつつ、さらなる文献研究と南アフリカ共和国(以下、南ア)西ケープ州におけるフィールド・ワークを実施する。その上で、それらの分析結果をもとにして、南アにおいて「共生教育」の中心的な役割を担っている教科であるLife Orientationの制度的理念と実践の異同を明らかにしつつ、「共生教育」がナショナル・カリキュラムという「一つの基準」の下で営まれる際に「多様性の尊重」を確保するために重要となる要素を南アの事例から導き出す。 本研究の重点事項となるフィールド・ワークについては、南アの学校の2019年度2学期と3学期および次年度1学期に調査を実施(計3度)する。そのことで、今年度実施した調査も踏まえつつ、1年間の経年変化についても分析する予定である。来年度のフィールド・ワークでも今年度と同様に、南アの「共生教育」に関する情報収集とともに、Life Orientationに着目しつつ、南ア西ケープ州教育省の行政官および同州の高等学校の教員を対象としたさらなるインタヴュー調査と同教科の授業観察を実施する。そこでは特に、Life Orientationのナショナル・テストとその評価方法や同テストに関する教員研修に加えて、今年度の調査で浮かび上がってきた同教科の近年の動向に対する教育省の行政官や教員の認識といった点に着目した調査を実施する。そして、来年度の最後には、文献研究とフィールド・ワークの結果をもとにして、ナショナル・カリキュラムとしての「共生教育」の理論的検討を行う。 また来年度は、学会の大会での発表や学術誌への論文投稿等により、初年度と最終年度に得られた研究成果を公表するための作業に取り組む。
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