我が国において非行少年は、児童福祉や少年司法、学校教育と様々な領域によって管轄される存在である。本研究を通して得られた最大の知見は、戦前における不良少年に対する処遇の場であった感化・保護教育が、学校教育や少年司法の動向を注視しつつ、「教育的であること」という言説を繰り返しながら自らの社会的意義を模索してきたということである。明治期より終戦直前まで積み重ねられてきた感化・保護教育の理念が,現代における非行少年のケアへどのように受け継がれ、どの部分が捨象されていったのかを考察することが次なる課題になるといえる。
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