研究課題/領域番号 |
19K20987
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
村松 麻里 金沢学院大学, 文学部, 講師 (10827843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小学校英語教育 / guided reading / 体系的絵本教材活用 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き様々な英語絵本(real books, reading schemes, 外国後としての英語教育用絵本)を日本の小学校英語教育に位置づけるための調査・研究を行った。その一部として、2019年9月にはロスアンゼルス郡の公立小学校と幼稚園(K-1)において絵本を活用した授業の参与観察と教師へのインタビューを実施した。 21世紀型の国際競争力のある人材育成を念頭に置くとも言われる全米共通スタンダードにおいて国語は非常に重視されている。今回の調査先小学校のreadingの授業でも授業時数や教材といったハード面から教師の指導技術等のソフト面まで一定程度の基準が共有されており、児童は物語・詩から情報文まで多様な絵本に接し、学級単位から一対一の個別指導まで、概ね同様の教育を受けていた。日本以上にインクルーシブ教育の性質が強く、移民の子や発達上の課題を抱えた子を複数同じ教室に抱えるアメリカの教育環境には独自の困難もあるが、その一方で担任以外の専門家が適宜日常的な支援を行いリテラシー教育を支える米国の母語教育の仕組みは日本とは大きく異なるものであった。 こうした事例は日本の小学校英語教育における絵本活用を考察する際直接的に参考になるものではないが、習熟度に著しい遅れをもつ児童にも絵本が重用されていた事例は絵本というメディアのユニバーサルな有用性を示唆するものとも考えられる。また、明確な言語教育上の目標の下に編纂された教材絵本シリーズの、副教材や指導書を含めた全体構成は、日本の英語教育における将来的な絵本活用の可能性を考える場合にも参考になる。 コロナ禍による海外調査断念等により現段階では調査不十分な点もあるが、引き続きこうした英語圏の絵本活用(母語教育)と日本での英語絵本活用(外国語教育)との比較・分析を行い、日本での英語教育における絵本活用の方略を研究していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、2020年3月に予定されていた英国での調査が実行不可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染拡大にかかる状況を見ながらイギリスの小学校での調査を実行するとともに、それが実現不可能となってしまった場合には文献調査および文書やオンライン上のやり取り等を通じたインタビュー等によって現地の言語教育について知見を深めたい。英米のreading schemesの教材研究及び活用実態の調査・分析を実施した後、日本の英語教育においてそれらを活用するための方策を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年3月に予定されていた英国での現地調査が実施できなくなり、状況に応じて次年度に再度調査の実施またはそれを補うための別形態による調査を予定しているため。
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