研究課題/領域番号 |
18H05796
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
金南 咲季 愛知淑徳大学, グローバル・コミュニケーション学部, 助教 (80824979)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 外国人学校 / 地域コミュニティ / 類型論 / 多文化社会 / 教育ネットワーク |
研究実績の概要 |
日本における外国人学校は、学校によって歴史的背景や法制度上の処遇、学習環境、地域社会との結びつきなどの特徴が異なっているが、その実態把握は大きく立ち遅れている。とりわけ多くの外国人学校が「各種学校」の法的地位に置かれている現状に鑑みれば、今後、適切な人的・財政的支援や法的整備へとつなげていくべく、基礎的な情報の整備を進めていくことが重要な課題となっている。また、日本社会において一層の多文化化の進展が予測されるなか、外国人学校は、地域社会の多文化共生創出の拠点として、今後ますます重要な意義をもつと考えられる。そこでまずは、外国人学校が周辺の地域社会とどのような関係性にあるのか、現状とその背景を明らかにしていくことも重要な課題といえる。 以上をふまえて本研究ではまず、日本に存在する外国人学校約200校を対象に質問紙調査を実施し、「学校の基礎情報(エスニシティ・階層的特徴、生徒や教員数・属性、設立経緯、教育理念、法制度上の位置付け、財政的基盤、母国社会との関係性等)」と「各校と地域社会との関係性」に関するデータ収集・分析を行うことにした。 初年度は、質問紙調査、さらにはその先のフィールド調査に向けた準備期間として位置づけ、以下の作業を行った。 まず、広く資料を収集し、文献を渉猟した。また、複数の学校・地域を訪問し予備調査を実施した。その上でこれらを踏まえて、質問項目の検討を重ね、調査票を完成させた(具体的には、①学校と地域社会との関わりについての現状認識と、関係構築に対する意志や動機、②地域の公立学校や諸組織・住民・行政等との相互作用、③それらを通じたネットワークや実践、規範等の変容、という3つの観点から質問項目の検討を行った)。また、完成させた調査票に関しては、専門業者に委託し、英語、ポルトガル語への翻訳を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究活動スタート支援(2018年度)」の使用は、採択年度の秋以降となるため、初年度の活動期間はやや短くなっている。そのため、初年度は、次年度に実施する質問紙調査・フィールド調査の準備期間として位置づけた。結果として、各種資料収集や文献の渉猟、質問紙の作成を順調に終え、次年度の調査に向けた準備を整えることができたため、上の評価(「おおむね順調」)が妥当であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究計画については、まず4~7月までに、既に作成済みの質問紙を各学校の代表者宛てに送付し、回収とデータ整理まで完了させる。その上で8~9月にかけて、以上の調査結果をもとに、「学校と地域の関係性」という観点から各校を複数のタイプに類型化し、それぞれの特徴について分析を進める(現在、分類の2軸として「日常生活上の共同性(質問紙の該当項目を得点化)」と「制度・政策の充実の度合い(外国人学校種ごとに異なる国の施策と、各校の位置する地方自治体の外国人学校施策の状況を得点化)」を検討している)。 その上で、分類した各タイプに属する外国人学校のなかから、エスニシティや地域的特徴を考慮して計6校程度を選定し、10~翌年2月にかけて各1週間程度の集中的なフィールド調査(学校関係者や地域住民、行政担当者等への聞き取りを含む)を実施する。 年度末にかけては、以上の質問紙調査、フィールド調査の結果を比較分析し、地域社会における共生の生成と展開の動態、その背景論理を説明する類型論を構築する。なお、本研究の成果については随時広く発信する予定である。
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