研究課題/領域番号 |
19K20988
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
金南 咲季 愛知淑徳大学, グローバル・コミュニケーション学部, 助教 (80824979)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 外国人学校 / 地域コミュニティ / 類型論 / 比較社会学 / 多文化社会 / 教育ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本に存在する外国人学校を対象に、「学校の基礎情報」と「各校と地域社会との関係性」について明らかにすることである。具体的には、1) 国内の外国人学校と地域社会との関係性について、質問紙調査をもとに全体像を描き出す、2) その結果をもとに選定した対象地で集中的なフィールド調査を行い、外国人学校と地域社会の関係構築過程を詳細に記述・分析する、3) 以上の知見を比較分析し、地域社会における「共生」の生成と展開の動態とその論理を説明する類型論を構築することを目指すものである。 2年目にあたる2019年度は、初年度に検討した質問紙を用いて郵送調査を実施した。具体的には、2019年11月~2020年2月にかけて、独自に設定した基準に該当する計165校の外国人学校を対象に質問紙調査の郵送と回収作業を行った。宛先不明で返却された5校を除く最終的な調査対象校は計160校であり、うち有効回答数は44校、有効回収率は27.5%であった。質問紙調査は、主に「学校の基礎情報」と「学校と地域との関係性」について尋ねる選択回答計54項目、自由回答計7項目からなり、これらについてある程度把握ができている教員1名が代表で回答するよう依頼した。以上の結果より、1)学校の基礎情報(エスニシティ・階層的特徴、生徒や教員数・属性、設立経緯、教育理念、法制度上の位置付け、財政的基盤、母国社会との関係性など)、2)学校と地域の関係性に関する現状認識、3)学校と地域間の具体的な相互作用、4)学校と地域の関係性の変化、5)現在学校が困っていること・課題などの詳細な実態が明らかとなった。また、2020年2月から現在にかけて、上記の質問紙調査の結果をもとに対象を選定し、協力が得られた学校に対してインタビュー調査を実施し、分析作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に作成した質問紙をもとに、対象校への郵送調査の実施、データの回収と入力、分析を計画に沿って円滑に進めることができたほか、インタビュー調査についても、対象校の協力を得ながら、随時進めることができているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる2020年度は、まず上半期については、引き続き2019年度に実施した質問紙調査の結果をもとに、インタビュー調査を進めていく予定である。ただし、2020年1月頃より全世界的に大きな社会的課題となっている新型コロナウイルスに伴う影響により、調査の円滑な実施に支障が出ており、今後、オンライン等を活用した調査の実施を検討するとともに、必要に応じて計画の見直しなどの対応を進める予定である。下半期については、質問紙調査、インタビュー調査より得られたデータを比較分析し、地域社会における「共生」の生成と展開の動態、その背景論理の説明を目指す。なお、本研究の成果については随時広く発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査の回収率を事前に予測することができないため、対象校全てから回答を得た場合に必要となる郵送費や謝礼等の費用を計上していたが、実際には有効回収率は27.5%にとどまったため、残金が生じた。最終年度にあたる2020年度は、残金を、今後実施するインタビュー調査に必要となる旅費や謝礼等にあてるほか、分析や成果発信に必要となる文献等の購入や報告書作成費用にあてる予定である。
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