本研究では、母子の視線共有が前提となるおもちゃを介した遊びにおいて、共同注視や共同注意が形成される生後9カ月から12カ月の時期に、聴覚障害児ごとで母親を注視する行動に差は生じているのか、子どもとの視線共有を図るために、母親はどのような方略を通して子どもの注意を引きつけてかかわっているのかを検討した。その結果、すでに生後9カ月以前の聴覚障害児において、母親を注視する行動には差があることが推測された。また、母子の視線共有には、それまでの子どもにとっては受容的ともいえる母親の子どもを引きつける方略が重要であることが推測された。
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