本研究においては,社交不安傾向を示す者が心理社会的ストレッサーを経験した後のコルチゾール反応の回復に心理学的方略が及ぼす効果について検討した。具体的には,ディストラクション方略(対人場面と無関係なことを考える)とセルフ・コンパッション方略(自分に思いやりの気持ちを向ける)の効果を検討した。実験の結果,ディストラクション方略に従事することでコルチゾール反応の回復が促進されることが明らかになった。また,特に社交場面に関する回顧的思考を行いやすい者において,セルフ・コンパッション方略の効果がみられた。
|