研究課題
研究活動スタート支援
本研究では,ウェブサイト上で慈しみの瞑想(Loving-kindness meditation; LKM)を実施できる仕組みを開発し,その有効性を検証した。研究1では,大学生を対象に3週間の介入を行い,セルフ・コンパッションが高まること,ユーザビリティも十分担保されていることを確認した。研究2では,休職者を対象にLKMと慈悲に関連した認知行動療法を併用した場合,復職支援プログラムのみを実施した群よりもうつ症状が低減することが明らかとなった。研究3では,6週間のウェブ介入を行い,セルフ・コンパッションが高まることに加えて,セッションが進むごとに気づきが増すといった治療機序が明らかとなった。
臨床心理学
LKMによるうつ症状の軽減効果は非常に高いことが報告されている(Hoffmann et al., 2015)。しかし,本邦ではその有効性の検証が乏しく,実臨床で用いられることも少ない。本研究でLKMをウェブで実施できる仕組みを開発したため,インターネットさえつながればどこでもLKMに触れることができる。またメタ分析でLKMの効果が示される一方で,その作用機序は明確ではなかった。本研究では,m瞑想を終えるごとにアンケートに回答してもらうことにより,LKMの治療プロセスの一部を解明した。