本研究では他者に触れられる経験が乳児の身体生理状態や脳内情報処理過程に与える影響を実験的手法により検討した。生後5-9か月児を対象に、2名の見知らぬ他者顔を提示した時の心電図および脳波を計測した。一方の顔写真の提示時には、実験者が乳児の足をやさしくなで(触覚あり条件)、他方の顔写真の提示間にはそうしたはたらきかけをしなかった(触覚なし条件)。その後、同じ2名の顔写真を提示した時の乳児の心電図と脳波を解析した。その結果、触覚なし条件よりも触覚あり条件の方が脳活動が強かった(心電図と脳波との関連は現在解析中)。ここから、他者に触れられる経験が乳児の脳内情報処理パターンに影響することがわかった。
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