子どもの不定愁訴を調べた疫学的研究では、睡眠異常や疲労に悩む就学者が存在すると言われている。本研究では行動、分子、神経基盤の指標が不登校生徒と登校生徒でどのように異なるのかを、疲労・睡眠調査、認知機能テスト、尿中神経代謝物質の測定、MRI計測から検討する。まず、睡眠相が昼間に後退した不登校生徒は昼夜逆転傾向となり、潜在的な睡眠欠乏と強い脳疲労を持つことが見出された。また、不登校生徒は記憶更新課題に対して数唱の正答率が低下したことから実行機能の抑制が考えられるが、言語性聴覚性課題の単語の想起数に変化はみられなかった。さらに、このような状態にはノルアドレナリンなどの代謝異常が関与する可能性がある。
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