研究課題/領域番号 |
18H05814
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
福山 寛志 鳥取大学, 地域学部, 講師 (50823853)
|
研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
キーワード | 対人相互作用 / 乳児 / 親子 / 日常 / ウェアラブルセンサ |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究課題の準備期と位置づけ研究を進めた。ただし、新たな職場でゼロから研究環境を作っていく必要があり、その構築に予想以上に時間と費用がかかった。まず、本研究課題のメインテーマであるウェアラブルセンサによる親子相互作用の計測に関して、安全で適切なセンサの選定、取り付け方法について協力者からの意見も取り入れ改良しつつ、着実に進めている。具体的には、乳児が誤飲したり怪我したりする恐れがなく、かつ日常生活に支障を来さない程度の大きさであり、様々な動きにも耐えて計測を継続できるよう、胸部に取り付ける心拍・活動量センサを採用した。また、同様の理由で小型の音声レコーダーを採用した。少人数の親子に協力してもらい取得した予備的データでは、日常生活中の親子の音声及び心拍、活動量データを得ることができた。それらのデータからは、活動量だけでなく二者間の会話(発話)も互いの心拍に影響を与えることが示唆されたが、より確かな証拠を得るには詳細な分析とさらなるデータの取得が必要である。もう一つのテーマである実験室における心理学実験については、計測装置のみならず計測室環境から整備する必要があった。乳児を対象とした実験では、安全面はもちろんのこと、乳児(及び養育者)が安心でき、かつ気が散りにくい環境である必要があるため、それらの点を考慮して準備を進め、年度末までにビデオカメラや視線計測装置等を含む乳児を対象に実験を実施できる実験室環境を整えた。協力者のリクルートは、別の調査に協力してもらった乳幼児を対象におこなったが、小規模にしかおこなえなかったため、本格的には次年度に開始する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たな職場でゼロから研究環境を作っていく必要があり、その構築に予想以上に時間と費用がかかり、本調査まで至れていないため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、本調査を開始するため、大規模リクルートをおこない、協力を募り、データの取得、分析を進める。まず、ウェアラブルセンサを用いた乳児‐養育者相互作用の縦断計測を開始する。また、並行して乳児と養育者それぞれを対象とした実験室実験も実施する。具体的な研究計画は以下のとおりである。日常場面における乳児と養育者の自然な相互作用を計測するため、音声レコーダや活動量センサを用いて乳児と養育者の働きかけ方や応答を記録・評定する(研究1)。また、乳児の対人行動や認知、養育者の対乳児動作を定量化するための実験室実験をおこなう:具体的には、乳児が大人と関心を共有できたと認識する際、大人のどのような応答(視線や表情等)が影響を与えているか(研究2)、養育者が乳児との相互作用において動作をどの程度調整するか(研究3)について検討する。 日常の相互作用経験が乳児と養育者の行動や認知に与える影響を明らかにするため、研究1~3を同じ乳児及び養育者を対象に縦断的に実施し、データ間の関連を調べる。例えば、乳児の対人行動に対して養育者が日常的に応答的であれば、乳児も大人の対人行動に敏感になると予想されるが、養育者の行動が日常的に応答的でない場合、乳児は自発的な対人行動を減少させるかもしれない。養育者の行動や認知もまた、日常における乳児の応答性によって変化していくことが予想される。本研究は、このような乳児-養育者間相互作用の「来歴」を日常計測により捉え、それが乳児及び養育者の対人行動とその認知に与える影響を条件統制が可能な実験室実験により調べる。 結果がまとまり次第、国内外の学会等で発表する。
|