研究課題/領域番号 |
18H05815
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
淺野 敬子 武蔵野大学, 人間科学部, 助教 (40823414)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 性暴力被害 / 二次被害 / ワンストップ支援センター / PTSD |
研究実績の概要 |
被害者の支援ニーズに合わせた、切れ目のない支援を行うためには、支援者および専門家は性暴力被害者の実態に即した介入を効果的に行うことが必要である。また、刑事司法や医療機関にかかわる機会が多い性暴力被害者に対しては、それらの専門家が二次被害を与えることなく介入を行うことが被害者の精神健康の回復において重要であると考えられる。 研究者はこれまで都内ワンストップ支援センターから紹介を受けた性暴力被害者のカルテ調査を行ってきた。その結果、支援センター経由で精神科を受診した性暴力被害者(38名;27.6±8.49歳)は、心的外傷後ストレス障害(以下、PTSD)および急性ストレス障害のり患率が高く(81.6%)、アルコール摂取時の被害(31.6%)、再被害(39.5%)が3~4割あることや、被害後早期に精神科へつながるとPTSDからの回復が早まることが示唆された。さらに実証的なデータとするためには、カルテ調査を継続して実施して対象者数を増やし統計的分析を行う必要がある。また、専門家が二次被害を与えることなく支援・介入を行うことが被害者の精神健康の回復において重要であると考えられるが、性暴力被害者を対象にした二次被害に関する知見は多くはない。 以上により、本研究では性暴力被害者の実態および性暴力被害者に特有な二次被害について明らかにすることを目的に、研究①:性暴力被害者の被害実態調査(カルテ調査)、研究②:性暴力被害者に特有な二次被害に関する研究(インタビュー調査)を行う。 平成30年度は、まず、研究環境を整備し、研究①では、性暴力被害者のカルテより情報を収集およびデータ入力を進めた。平成31年度はデータ入力を継続して行うとともに、データを分析し、学会での成果発表を行う予定である。研究②では、二次被害に関する文献レビューを行い、インタビュー調査の研究計画作成に必要な知見を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究者の休業により、研究全体の推進が遅れている。また、研究①については、協力医療機関とカルテ情報の利用許諾に関して改めて協議が必要となり、カルテからの情報の収集およびデータ入力が遅れている。しかし、協力医療機関との協議は終了し、その後は情報収集およびデータ入力は順調に進んでいる。研究②については、研究全体の遅れにより、研究計画の策定および倫理審査手続きが遅れている。②の研究計画策定に必要な文献等の収集は進んでおり、来年度のインタビュー実施に向けて準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究①:性暴力被害者の被害実態調査(カルテ調査) 本研究は、研究者らが平成24年から行ってきた研究を継続して行うものである。まず、昨年度に続き本年度はカルテからのデータ抽出および入力を行う。次に、データ分析を行い、研究発表のための準備を行う。また、本研究に関する最新の知見を得るため、学会に参加するとともに、文献収集および文献レビューを今年度も継続して行う。 研究②:性暴力被害者に特有な二次被害に関する研究(インタビュー調査) 本研究の研究計画を完成させ、研究者の所属する機関の倫理審査手続き行う。インタビュー候補者へ研究協力依頼および説明を行い研究参加の同意を得るとともに、インタビューを実施する。インタビューを実施次第、録音したインタビュー内容について文字起こしを行い、データ分析を順次進める。
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