ネガティブな持続的思考(反すう)は不快な対象への過剰な注意集中に起因すると考えられ,一般的には気晴らしによる対処が有効とされる。ただし,気晴らしによる思考の回避や抑制が長期的には不適応的に機能することも指摘される。そこで本研究は,不快な思考と気晴らし課題を同時に行う注意分割気晴らしの効果を検討した。 不快な思考を抑制しようとする気晴らしは短期的には気分の改善に有効であるものの,長期的には抑うつの上昇や反すう時の気分の悪化を招くことが示唆された。一方,注意分割気晴らしは不快な対象への注意集中を防ぎ,ネガティブな思考を緩和することで,長期的な反すうの改善につながる可能性が示唆された。
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