家族の心理的ストレスや否定的認知,家族の「対応レパートリー」や「随伴性認知」に焦点を当てて,ひきこもり状態の改善におけるプロセス変数を包括的に検討した。 心理的ストレスを独立変数,子どもの適応的行動を従属変数,対応レパートリーを媒介変数,随伴性認知を調整変数とした調整媒介分析を行なった結果,随伴性認知が低い場合に対応レパートリーの間接効果が有意であったが,随伴性認知が高い場合には間接効果は有意でなかった。この結果は,ひきこもり状態の改善を目指す家族支援においては,心理的ストレスを低減させるアプローチに加えて対応レパートリーや随伴性認知に焦点を当てる必要があることを示している。
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