研究課題/領域番号 |
18H05823
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 松山東雲女子大学 |
研究代表者 |
三宅 英典 松山東雲女子大学, 人文科学部, 講師 (20826581)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 身振り / 発話 / 統合的理解 / 指示語発話 / 視線 / 幼児期 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,発話と身振りの統合的理解における聞き手の視覚的な注意に着目して,発話と身振りを統合する処理過程や指示語発話の統合的理解を促進するメカニズムを検討することである。 当該年度では,年長児21名・成人21名を対象に,動作に関するメッセージを伝達する発話と身振りを提示し,4枚の写真からメッセージと最も一致するものを選択させた。動作は,「書く・投げる・読む・飲む・開ける・食べる・登る」の8種類を使用した。また課題遂行中における参加者の視線を計測した。 その結果,視覚的な注意を顔や身振りに分けて分析したところ,聞き手は身振りよりも顔に注意を向けながら,発話と身振りを統合的に理解していることが明らかになった。また,顔や身振りに対する視覚的な注意は,年長児と成人の間で差がみられなかった。次に,発話と身振りを統合する能力は,年長児と成人の間に差がみられないものの,課題の正答率では成人の方が年長児より高かった。 これらの結果から,年長児は成人と同程度に発話や身振りの統合能力を有しているものの,実際には,成人と同程度にこの能力を発揮しているわけではないことが示された。一方で,発話や身振りに対する視覚的な注意では,年長児と成人の間に差がみられず,年長児と成人における発話と身振りの統合的理解の差が,視覚的な注意のレベルに反映されているわけではないことを示した。 上記の研究成果は,2019年度の学会・研究会等で発表する予定であるとともに,学術雑誌への投稿の準備をしている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度に予定した調査については,予定どおりの進捗で遂行することができた。また,2019年度の調査についても大きな変更をすることなく実施準備を進めている。 以上より,本研究課題の進捗状況については,おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
年長児と成人には,発話と身振りの統合的理解における視覚的な注意に差がみられなかった。しかし,統合的理解が困難であると考えられる年少児では,視覚的な注意が年長児や成人との差異として現れる可能性がある。そのため,当初の予定どおり,年少児・年中児・年長児を対象に,2018年度と同様の課題を実施する予定である。また,この際には「こうやって」という指示語発話を発話に加えることで,指示語発話の作用を視覚的注意の点から検討する予定である。 調査に関わる研究成果については,随時,学会発表や論文投稿を通して公表することを目指す。
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