正標数の完全体上の代数多様体の次元が3次元以上であり、代数多様体上の階数1の層の因子に沿った分岐が強クリーンである場合に層の特性サイクルに層の分岐の不変量を用いた表示が与えられるかを研究した。特性サイクルはオイラー数を計算できることが知られており、特性サイクルを分岐の不変量を用いて表示し、オイラー数と分岐の不変量との関係を与えることが本研究の目標である。 因子に沿った分岐が強クリーンな階数1の層に関しては、すでに特性サイクルとの一致が期待される代数的サイクルが分岐の不変量を用いて明示的に構成できており、これらの構成法の異なる2つの代数的サイクルの一致が示せれば特性サイクルに分岐の不変量を用いた明示的な表示が与えられるというところまで進んでいた。当初は層の曲線への制限についての分岐の不変量を用いて特性サイクルを計算することで2つの代数的サイクルの一致を示す予定であったが、特性サイクルとは別の比較の難しい不変量の比較が必要になり、別の方針を考えた。最終的には、計算により2つの代数的サイクルが一致するかどうかが論理的には判定できる方法を見つけることができた。これについては、引き続き研究を進め、2つの代数的サイクルが一致するか否かを早めに確かめたい。 研究発表に関しては、9月に東京、11月に奈良で特性サイクルと分岐の不変量との関係に関する研究発表を行った。8月に中国を訪問した際にも同様の内容に関する発表を行った。また、2月に数論を専門とする国内研究者を招聘し2日間のセミナーで講演をしていただいた。
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