研究課題/領域番号 |
19K21020
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
谷田川 友里 東京工業大学, 理学院, 准教授 (90819343)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 分岐 / 特性サイクル |
研究実績の概要 |
なめらかな代数多様体上の階数1の層の特性サイクルに対する層の分岐の不変量を用いた具体的な表示について研究した。昨年度の研究では特性サイクルの台である特異台について、基の余次元が2以下の部分に対して層の分岐の不変量を用いた明示的な表示が得られていた。より正確には特異台の基の余次元が2の部分を含む、余接束の閉部分多様体で代数多様体と同じ次元をもつものに対して層の分岐の不変量による明示的な表示を得ていた。 今年度は、昨年度に得た、特異台を含む余接束の閉部分多様体からより正確に、特異台の基の余次元が2部分の決定と、特異台の基の余次元が2の部分の特性サイクルにおける重複度の分岐の不変量を用いた表示について考察した。本研究では層の分岐がclean性という対数的な分岐についての良い性質をみたす場合について、層の特性サイクルに層の分岐の不変量による表示を与えることを目標としている。この層の分岐がclean性をもつという性質は、代数多様体が2次元の場合には代数多様体のブローアップにより実現できることが知られており、代数多様体が3次元以上の場合にも同様の性質をもつことが期待されている。そのため、今年度は、代数多様体のブローアップを許すことにして、特異台と特性サイクルの層の分岐の不変量による表示を考察した。これにより、層の分岐がcleanであるような階数1の層に対して、代数多様体をブローアップした後で、特異台の基の余次元が2の部分を決定することができた。また、余次元3の閉部分多様体のを除いた部分について、決定した特異台の特性サイクルにおける重複度の層の分岐の不変量による具体的な表示も得ることができた。これらの結果については昨年度の結果と合わせて一つの論文にして投稿を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究で得られた層の分岐がcleanな場合の特異台の基の余次元が2の部分に対する分岐理論を用いた表示に加え、今年度は代数多様体のブローアップを許してはいるが、特性サイクルの基の余次元が2の部分に対しても分岐理論を用いた表示を得ることができたため。 昨年度に投稿を準備していた、余次元2の特異台の分岐の不変量による表示に関する論文は投稿できていないが、今年度得られた結果と合わせてまとめた論文の投稿を準備しており、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
特異台と特性サイクルの基の余次元が2の部分に対する分岐理論を用いた表示について、投稿を準備している論文を完成させて投稿する。また、特性サイクルの層の分岐の不変量を用いた表示についての研究を引き続き行う。具体的には、今年度得られた特性サイクルの表示と対数的な特性サイクルとの比較や、代数多様体の次元が3次元の場合の閉ファイバーにおける特性サイクルの重複度を層の分岐の不変量で表示する方法等について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で、計画していた出張がなくなるなど、当初の計画に変更が生じたため。 今年度は、オンラインによる研究発表用の機材の購入や、研究を進める上で生じる図書の購入、また、情勢が許せば、研究集会への現地での参加のために助成金を使用する。
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