研究課題/領域番号 |
18H05838
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 晋平 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30824453)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 量子物理学(理論) / 少数多体問題 / 極低温原子気体 / 量子クラスター |
研究実績の概要 |
極低温まで冷却した原子気体中において、量子力学特有の現象を探る研究が理論・実験の双方から盛んにおこなわれている。本研究では、そのような現象を理論的に解明することに取り組んでいる。特に本年度は原子気体中で現れる3原子の束縛状態や共鳴状態の研究を行った。特にこれまで着目されてこなかったエネルギーや角運動量が大きな3体状態を調べる数値計算手法の開発を行った。この手法はこれまで研究代表者が開発し用いてきた分離型ポテンシャルの手法を、高いエネルギー・角運動量状態にも適用可能なように自然に拡張したものである。このような方法は、異なる角運動量・内部状態のチャンネルが結合した複雑な式を発生させるため、数値計算には適さないだろうと信じられてきた。本研究では、この複雑な結合を単純化する解析的な手法を開発することに成功し、これまで不可能だと思われてきた結合チャンネル方程式を解くことに成功した。この手法は原子のみならず、原子核や物質中の素励起の少数問題に対しても用いることができる非常に一般的な手法なため、原子気体のみならず幅広い少数多体問題に有用であると期待される。この手法を用いて、エネルギーや角運動量が大きな3体状態の性質を探る研究も行った。特に従来使われてきた変分計算法による計算と比較研究を行った。これらの研究は、当初の研究計画の目的(I)として記載した研究計画・目的・手法に沿ったものであり、研究計画通りおおむね研究は進展している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度行った研究は、当初の研究計画における目的-(I)に相当する研究であり、研究計画通りおおむね研究は進展している。特にこの手法は原子気体以外の系にも適用可能な一般的な手法であるため、研究計画の目的-(III)の物質中の電子との関連を探る研究にもつながると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
初年度行った研究を継続して、エネルギーや角運動量が大きな3体状態の性質の解明する研究を行う。特に、これまで未発見の状態・現象があるか否かを探る。これらの少数系における研究をもとに、量子多体媒質中の3体・4体クラスターの性質を探る研究(当初の研究計画の目的-(II)および(III))を行う。特に極低温原子気体のポーラロン現象でどのような少数系と多体系の協奏現象が現れるかを探る
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