研究第2年度目の2019年度においては、2018年度に作製手法・条件を確かめた反強磁性物質ファンデルワールス物質・金属へテロ構造の試料のデバイスにおけるスピン伝導特性に重点をおいて研究を遂行した。 光学顕微鏡、原子間力顕微鏡とRaman顕微鏡を用いて、原子レベルで平坦な2次元ファンデルワールス反強磁性物質薄片を同定した。これらによりヘテロ構造を作成した。測定装置に合わせたデザインの電極配線を行った。リソグラフィーとリフトオフ法により電極を作製し、磁気抵抗を測定した。 当課題で着目している2次元反強磁性体はスピンを変調するために必要とする磁場強度は大きい。そこで全国共同利用施設の強磁場装置を利用するために課題の申請を行い、採択された。強磁場での磁気抵抗測定を行った。反強磁性転移温度付近で異常を測定することに成功した。温度、磁場、磁場角度などを制御し、当該現象発現の機構を実験的に調べた。複数の試料を測定することで、再現性を確かめた。 また、本研究課題の2次元反強磁性トリカルコゲナイトの界面スピン効果を拡張した発想として、反強磁性界面を用いた2次元磁性体の研究も合わせて行った。2次元強磁性体Cr2Ge2Te6の強磁性転移温度を低温磁気光学効果を用いて調べ、反強磁性体とのヘテロ構造を用いる事で増加することを実現した。 これらの研究成果を国内外の学会で発表・議論を行い(ただし国際学会はコロナウイルスの影響で中止)し、原著論文での発表を行った。
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